2014年1月15日水曜日

Print-029 サイアノタイププリントとスケッチブック

私はサイアノタイププリントを行う場合、紙にもこだわりたいと考えています。和紙や版画用紙、OA用紙などなど試してみましたが、なかなか思うようなプリントにはなりません。これは、自分の作品のイメージと紙質があっていないことが一番の原因ではないかと考えています。

私の作品は建築物や風景が多いため、像をしっかりと見せたいことから像がにじむことは望みません。和紙や版画用紙は像がにじむものが多いような気がします。一方で水彩画用紙は比較的像がにじまないことから好んで使っています。特にワトソン紙は大きさも紙厚も選べ、かなり扱いやすいです。ただし、厳密には裏表があるようで、目の具合や露光時間がやや異なるような気がしますので注意が必要です。

一方で、紙の形にもこだわりたいと思います。写真技術の創成期に古典的手法の一つであるカロタイプを発明したウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット(William Henry Fox Talbot, 1800~1877)は世界最古の写真集「自然の鉛筆 (The Pencil of Nature)」を出版しました。個人的に注目したいのはタイトルに鉛筆という言葉を使ったことです。鉛筆で描写できないくらい細かいものを写真では表現できるということを主張したかったのかもしれません。鉛筆と写真、これを結びつけるもののひとつがスケッチブックではないかと考えています。作例でもいくつかありますが、特に紙に穴が開いているものがスケッチブックっぽくていいなあと思いながら好んで使っています。 

ちなみに、タルボットとサイアノタイププリントを発明したハーシェルは交流があったようです。写真技術者同士交流しながら切磋琢磨していたのかもしれませんね。




世界堂 水彩紙 ワトソン紙
http://webshop.sekaido.co.jp/product/list.php?parameter=cat&cat=140107&index=14

世界堂 水彩紙 ワトソン紙 スケッチブック
http://webshop.sekaido.co.jp/product/list.php?parameter=cat&cat=130108&index=13

多木浩二・大島洋「世界の写真家101」 新書館 1997



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