2013年11月29日金曜日

Print-021 水洗する準備をしよう

水洗をするために必要なアイテムを準備しましょう。


一番容易なものは水道水です。厳密には水道水には消毒用の塩素成分が含まれているため、水洗時に紺青や紙自体が漂白されてしまうのかもしれませんが、おそらく自治体(水道局?)により塩素の量もまちまちであると思われることから、ここでは水道水について深く考えないことにします。ちなみに私は水道水を全く気にせず使っています。

水洗パッド
プリントする紙の大きさが十分に入るパッドが必要です。A4くらいまでの大きさであれば100円ショップで容易に入手可能です。A3以上は少々高価になりますが写真用の水洗パッドがよいと思います。半切ほどの大きさになると、例えばホームセンターで入手できる工事用のコンクリートパッドなども使えますが、かなり高価で扱いにくいです。



過酸化水素水(3%)または酢酸
過酸化水素水はいわゆるオキシドールで薬屋で容易に入手できます。酢酸は写真用の停止液に使われるもので、こちらも写真の専門店やネットショップで入手できます。これらの薬品は必ずしも必要なものではありませんが、水道水の代わりにこれらの薬品を使うことで露光後の青色の発色を高めることができます。

新聞紙
当たり前ですが水洗後は紙が濡れています。その紙についた水分を吸収させるために新聞紙を使います。2~3日分あると安心です。

平坦な場所
水洗後紙を自然乾燥させる場所です。我が家では洗面所にパッドをおいて水洗した後、新聞紙を敷いたお風呂の蓋の上で自然乾燥させています。


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2013年11月26日火曜日

Print-020 サイアノタイププリントを露光しよう

ここでは、テストプリントで最適と思われる露光時間が見いだせているということを前提とします。

基本的には一定時間光を当てるだけなのですが、ここにいくつかの落とし穴があります。

太陽光で露光させる場合
・朝や夕方は明るさが変わってしまいます。一枚目と二枚目が違う結果になることもあります。
・比較的安定しているのが昼間です。
・晴天、曇天の場合はさらに光が安定しています。しかし、多くの雲が流れている場合、日なた
 と日陰で光量が大きく異なるため、安定した露光を行うことは難しいといえます。



人工灯で露光させる場合
・紫外線が外に漏れないような仕組みがあったほうがよいでしょう。カーテンつけるとか。
・ケミカルランプ1本で露光させる場合、葉書くらいの小さい紙の場合はそんなに問題ないかも
 しれませんが、A4程度では紙全体に均一に光を当てるのが難しくなります。複数点灯させた
 方がよいと思います。
・均一にするために拡散板を用いることもできますが、UVカットする拡散板は全く使えませんし、
 拡散板による光量の低下は否めません。
・球切れには常に気を使いましょう。複数の蛍光管がついていてもうち一本が切れていることに
 なかなか気が付かない場合があります。



露光時間が適切な場合、露光後はちょっとかぶった感じになります。これを水洗すると、きれいなプリントになります。


次は水洗です。


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2013年11月25日月曜日

Print-019 テストプリントのすすめ

あとは露光するだけというところまできました。が、肝心の露光は時間により像の出来栄えが異なります。正式な紙を使う前に、練習をかねてテストプリントをするようにしましょう。

テストプリントは大きな紙を使う必要はありません。一枚の紙を短冊状に切り、その紙で感光紙を作り、まずは露光時間を例えば5分と決めて露光してみましょう。それで像が薄ければ時間を長く、濃ければ時間を短くします。これを繰り返して適切な露光時間が見いだせたら、大きな紙に露光してみましょう。

露光の際には感光紙とネガが密着するようにクリップを用いるとよいでしょう。この時クリップが感光液を塗ったところに被らないように位置を調整する必要があります。


Print-009でも説明しましたが、紙のダイナミックレンジを把握するためのテストプリントを行っていれば、その黒と白を合わせるためにはどれだけの露光時間が必要なのかがわかっているはずですので、そちらも参考にするとよいでしょう。

露光時間が短い例(水洗後)

露光時間が長い例(水洗後)


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2013年11月24日日曜日

Print-018 サイアノタイププリントを露光する環境を準備しよう

ネガと感光紙が準備できたら、あとは露光するだけなのですが、この露光はサイアノタイププリントの重要な工程の一つです。せっかくですのでよいプリントを作るために必要な小道具を紹介します。但し、あくまでも便利グッズであり、絶対に必要なものではありませんので念のため。

・ガラス板二枚
 →厚さは1mm~5mm程度。露光時に感光紙とネガをはさみ、密着させるために使います。
  ないと感光紙とネガがところどころで浮いてしまい、部分的に不鮮明(もやもや)となります。
 →私は7mm厚のガラスを注文しました。重くて密着化には適しているのですが、とにかく
  扱いが大変です・・・
 →UVカットガラスは肝心の紫外線を透過させないので使えません。写真用の無反射ガラス
  (薄い)か、ネットショップで大きさ、厚さ、カット面の加工方法などオーダーできるサイトも
  ありますので、こちらで注文してみるのもいいかもしれません。
ガラスの周辺には黒のパーマセルテープを貼っています。

・ハンディクリップ
 →ガラス板が小さくて薄い場合、ガラスの重みだけでは感光紙とネガを完全に密着させることが
  できません。ホームセンターなどで入手できる小型のクリップで周囲を挟み込むことで密着
  させることができます。

ハンディクリップ



・製図用ブラシ
 →自宅で行う場合、なかなかコントロールできないのがホコリです。ホコリがネガや感光紙に
  乗ったまま露光してしまうと、そのホコリがそのまま像となってしまいます。露光の前には
  ホコリを取るようにしましょう。はねぼうきのような硬いものより、製図用ブラシの方がネガには
  やさしい気がします。

製図用ブラシ

・照明
 →一番手軽なものは紫外線を含む太陽光です。直射日光でも曇りの日でも露光できます
  が、直射日光の方が露光時間が速いです。快晴の日中などは比較的安定して露光でき
  ますが、雲が多い日は太陽が雲に隠れるたびに光の量が変化するため、最適な露光時
  間を定量的に見極めるのが難しくなります。
 →自宅がマンションなどの集合住宅の場合、日照時間が限られていたり、そもそも日が当
  たらない場合があります。その場合は、人工的な照明を使います。最も手軽なものが、
  大手照明メーカーから発売されている捕虫器用蛍光ランプと呼ばれるケミカルランプです。
  ちょっと前までは量販店の店頭でも販売されていましたが、最近ではほとんど見かけなく
  なりましたので、ネットショップなどを使うとよいでしょう。
 →あわせて蛍光ランプを取り付けられる照明機器も準備する必要があります。小さな作品
  では1灯でも十分ですが、A3を超えるような大きな作品になると、感光紙上にどれだけ
  均一に紫外線を照射できるかで作品の質が決まってしまいます。その場合は、照明を
  2灯以上にする必要があります。私の場合は2灯装着できる機器を3つ使って6灯にして
  います。

・タイマー
 →手始めにはキッチンタイマーを使って露光時間を調整するのがよいかと思います。しかし、
  キッチンタイマーは時間を教えてくれるだけで、実際の露光時間をコントロールしてくれる
  わけではありません。作品制作が立て込んでくると、露光中に次の作品の準備をすること
  になり、作業のタイミングによってはキッチンタイマーが鳴ってもすぐ照明を消せないことも
  あります。そこで、露光時間を確実にするために電源をon/offできるタイマーコンセントスイ
  ッチを使います。主にガーデニング用のものが主流のようで時間調整が大雑把なものも
  ありますが、秒単位でコントロールできるものも販売されていますので、ホームセンターか
  ネットショップで探してみましょう。

左がコンセントタイマー、右がキッチンタイマー

・焼き込み、覆い焼き
 →そもそもデジタルネガを用いる場合はネガを作る段階で調整しておくべきですが、最初は
  なかなかその勘所がつかめないかもしれません。その場合は銀塩写真を印画紙に焼く場
  合に部分的に露光させたり(焼き込み)、露光させなかったり(覆い焼き)する手法を取り
  ます。この場合、例えば黒のミュージアムボードを適切な大きさに加工したりします。



参考文献
捕虫器用蛍光ランプ(東芝ライテック)
http://www.tlt.co.jp/tlt/products/lamp/lamp_keikou_list/ichiran/ichiran.htm


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2013年11月10日日曜日

Print-017 サイアノタイププリントの感光紙を作ってみよう

次に感光液を使って感光紙を作ってみましょう。感光紙をどのように作るかで個性を出せるかのポイントとなります。

始める前に以下のものを準備しましょう。
・紙(Print-012
・刷毛、スポンジなど
・テンプレート(自作)
・新聞紙

まず、感光紙を作る前に作業場の下に新聞紙を敷き、その上で作業するようにしましょう。
そして、この工程から、太陽光や蛍光灯が直接当たるような環境は避け、電球下で作業をするようにしましょう。

感光液を感光紙に塗るために、刷毛やスポンジなどを使います。毛が堅いもの、柔らかいものなど様々なタイプのものがあります。いろいろ試してみて、使いやすいもの、自分の作風に合うものを見つけましょう。刷毛目の違いにより、作風がだいぶ変わってきます。

刷毛の例(個人的には固めの毛が好み)

慣れないうちはテンプレートを使って感光液を塗ったほうがよいでしょう。ここでいうテンプレートとはネガの画像サイズのみをくりぬいた枠です。紙でもミューズボードでも何でもよいのですが、外形を使用する紙と同じ大きさにすると、毎回同じ場所に感光液を塗ることが出来るようになり、作品が安定してきます。紙の大きさやネガの大きさが変わると、新たなテンプレートを作り直す必要があります。慣れてくると、テンプレートなくても塗ることができるようになります。あわせて刷毛目を大胆にすることによって、作風に個性が現れてきます。テンプレートを使って塗った後に、テンプレートを取り除いて、刷毛目だけを入れる目的で塗ることもできます。

テンプレートの例。


実際に感光液を塗ったばかりの紙は、塗ったところが黄色になっています。刷毛目ついていることもわかりますね。この紙は光(紫外線)にあたると感光してしまうため、極力光に当てないようにします。そして、完全に乾燥させます。自然乾燥で十分ですが、急ぎの場合はドライヤーを使うこともできます。

作成した感光紙の例


この時に、紙の切れ端や短冊状に切った紙に感光液を塗っておくと、テストピースとして使うことが出来ます。露光時の条件出し時はテストピースを使って、条件が決まったら、所望の大きさの紙を
使うようにすると、感光紙と感光液の無駄を最小限にすることができます。

次回は露光させるために必要なものを準備してみましょう。



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2013年11月9日土曜日

Print-016 サイアノタイププリントの感光液を作ってみよう

やり方は色々あるのですが、ここでは一番簡単にできてかつ合理的なやり方(といっても師匠から教わった方法そのままですが・・)を紹介します。

始める前に、以下のものを準備しましょう。
・電球
・クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム(緑色)
・赤血塩
・ジャム瓶などの容器(200mlくらい、蓋付であれば保存可)
・デジタルはかり(最大200g、10mg単位で計測できるものが便利、インターネットで購入可能)
・計量カップ(500ml~1000ml程度のもので十分、100均でも購入可)
・計量スプーン(2.5ccが便利、金属製がおすすめ)
・古新聞
・割りばしなどの棒(攪拌用)

銀塩写真では、フィルム現像の時は完全暗室での作業が必要です。また、印画紙にプリントする場合はセーフライト(赤い光)のみ許されます。ところが、サイアノタイププリントでは、このように完全暗室は不要です。ネガ作成は通常の部屋でできます。感光紙作成時は紫外線の影響さえ排除してあげればよいので、太陽光や蛍光灯には紫外線が含まれていますので極力避けるようにして、紫外線を含まない電球下であれば大きな問題は発生しないでしょう。

感光液は液体の状態であれば感光する力が弱いですが、感光紙に塗布して乾燥してしまうとすぐに感光します。安定して作品を制作するためには、紫外線の影響を極力排除したほうがよいでしょう。

レシピの一例
1. クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム(緑色) 3g
2. 赤血塩 2.5g
3. 水 50g
4. これらをよく混ぜ合わせる

ここからクエン酸鉄Ⅲアンモニウムの割合を増やすと感度が上がりますので、露光時間が短くなります。赤血塩の割合を増やすと青色の濃さとコントラストを変えることができます。まずは標準で試してみて、感光紙との組み合わせで調整してみるとよいでしょう。


デジタルスケール(台北駅地下街で購入)

作成した感光液(岩のりの空き瓶)



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2013年11月7日木曜日

Print-015 サイアノタイププリント用感光液のための薬品(2)

サイアノタイププリントで使うもう一つの薬品が赤血塩です。フェリシアン化カリウムやヘキサシアニド鉄(III)酸カリウムとも呼ばれています。こちらは写真用の薬剤として広く使われており、比較的入手も容易です。大手の量販店の暗室用品コーナーでまだみることができます。サイアノタイププリントを試してみたい場合は、クエン酸鉄アンモニウムと合わせてインターネットで購入すると、手間がかからずよいかもしれません。

さて、タイトルでは「感光液のための薬品2」と書きましたが、正確には、赤血塩はクエン酸鉄アンモニウムと組み合わせることにより紺青色に現像する役割を担います。クエン酸鉄アンモニウムには3価の鉄イオンが含まれています。これが光(紫外線)にあたると2価のイオンへと変わります。赤血塩は3価のイオンとは反応しませんが、2価のイオンと反応し顔料である紺青を生成します。要は光の当たったところが青に、当たらなかったところは変化しないため、紙の地がそのままとなるわけです。ここにネガフィルムを使うと、紙の上に正像が得られるわけです。また、この紺青は科学的に安定しているため、保存性の高い紙にきちんとプリントすれば、アーカイバル性が高い写真を作ることができます。



一方で、データシートによると、赤血塩には強い毒性はなく、取り扱いを規制する法律には該当しないようですが、シアン化合物であるため、水質汚濁防止法や土壌汚濁防止法には該当するようです。また、シアン化物イオンは植物や脊椎動物には解毒作用が働くため無視できますが、動物プランクトンなどの水生動物には影響があるようです。廃棄の際は各自治体の基準に従い適切に処理しましょう。くれぐれも土中や河川などにそのまま流さないように気をつけましょう。廃液を残さずに使い切るようにすることが大切ですね。

次回はこれらの薬品をどのように使っていくのかを紹介したいと思います。



参考文献

Wikipedia フェリシアン化カリウム
Wikipedia 青写真

化学物質等安全データシート ヘキサシアノ鉄酸三カリウム (タカラバイオ株式会社)
http://catalog.takara-bio.co.jp/PDFFiles/MSDS_0172.pdf

安全データシート(SDS) ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム (昭和化学株式会社)
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/16342150.pdf






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2013年11月6日水曜日

Print-014 サイアノタイププリント用感光液のための薬品(1)

サイアノタイププリントの感光液の作り方はいくつかありますが、ここでは私のやり方(正確には師匠から習った手法、師匠すいません・・)を紹介します。

感光液を作るために必要な薬品は2つです。その一つがクエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム(緑色)で、写真の感光液用薬品として販売されています。最近では店頭ではなかなか見かけなくなりましたが、複数の販売店よりインターネットで購入することが可能です。メーカーにより少し呼び名が違います。

Wikipediaによると、クエン酸鉄アンモニウムはph調整剤として使われる食品添加物や炭酸飲料の飲食物に使われていたり、鉄欠乏性貧血の鉄剤や造影剤などの医療用途にも使われていたりと、人体に対して危険ではありません。

サイアノタイププリントにおけるクエン酸鉄アンモニウムの役割は、主に感光させる役割を担っています。3価の鉄イオンが光により還元され2価になる性質を利用して、像を紙に感光させるのです。



詳しい化学式は参考文献に任せます。サイアノタイププリントのために必要なのはどのくらいの濃度で感光液を作るかということです。次回もう一つの薬品を紹介した後に、感光液の作り方を紹介しようと思います。


参考文献
Wikipedia クエン酸鉄アンモニウム

安全データシート くえん酸鉄(Ⅲ)アンモニウム,緑色 (昭和化学)
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/01355350.pdf


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Print-013 紙の扱い方

テストピース(詳しくは露光のところで紹介します。露光テスト用に作った小さな紙)でプリントする条件を合わせこみ、ようやくプリント始めた一枚目がなんと想定外の出来になることがあります。また、しばらく順調にいっていたのにある時突然出来栄えが変わってしまい、また条件の取り直しから始める羽目にあったりすることもあります。ネガも紙も感光液も露光時間も変えていないのに、いったい何が起こったのでしょう?

いくつかの原因が考えられますが、今回は紙を原因とするもののみ取り上げてみましょう。


①紙の表裏が違う
 紙の製造工程にもよりますが、紙の裏表で仕上げ方が違う場合があります。習字紙のように明らかに違う場合もありますが、水彩画紙は表裏があり、それがとても分かりにくいです。最初はどちらが表か裏かがさっぱりわかりませんが、慣れてくると、表裏でさわり心地が違うのがわかってきます。テストピースを使う場合、一枚の紙を何枚かに切って使ったり、所望の大きさに切った切れ端を使ったりします。この時、表裏がわかるようにしておかないと、表裏が混ざった状態でプリントしてしまう可能性が高くなります。こうなると、紙ごとに最適な露光時間が異なったり、にじみ方が違ったり、色味が違ったりしてしまいます。ただし、表と裏、どちらが正しいかということはありません。プリントの結果が違うことはまぎれもないことですが、表の方がいい場合、裏の方が好みであったりすることもあります。表と裏の特性の違いをしっかりと理解して、自分の作風にあった方を選ぶようにしましょう。

②紙自体が別なものに
 極めてまれな事例かもしれませんが、万が一に備えて書いておきます。
 例えば、スケッチブックでサイアノタイププリントを行う場合、一冊のスケッチブックの中で紙が変わることはとても考えにくいですが、同じタイプのスケッチブックをもう一冊購入した場合はどうでしょうか。紙も工業製品ですので、どうしてもある程度の品質のばらつきが生じてしまいます。もちろんこのばらつきがある程度の範囲に収まるように生産者が調整したり検査したりしているのだと思うのですが、生産者の都合によりある日より紙の厚さがほんの少し変わっていたり、全く別な紙になっていたるするかもしれません。納入業者を変更していることもあるでしょう。これらは、多くの場合、生産者が製造コストを削減するためにより安価な紙に切り替えているのではと勝手に考えていますが、公知される場合、されない場合ありますので、どうしてもつじつまが合わない場合は疑ってみましょう。ただし、消費者側でできることは販売店や生産者に問い合わせて事実を確認してみるくらいで、実際はその変更を受け入れるか、新たな紙を探すかの2択になってしまうのではないでしょうか。

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2013年11月4日月曜日

Print-012 紙を選ぼう

サイアノタイププリントは紙や布にプリントできます。但し、紙の厚さ、紙表面の質、テクスチャににより作品の出来栄えが変わってきます。特に、露光後の色味や解像度(にじみ)に大きな影響を及ぼします。また、適切な露光時間も紙によって変わってくると思っておいた方がよいでしょう。

例えば、以下の二枚のサイアノタイププリントは、全く同じデジタルネガと感光液を使って露光させたものです。左の紙が版画用紙、右の紙が薄手のスケッチブックです。見え方が違いますよね。


ここでは、どちらが正しいかということを論じるつもりは全くありません。あくまでも自分の作風に合う紙を見つけ、それを作品に活かすことが目的です。世の中にはこれら以外の紙がたくさんあります。画用紙、水彩画紙、和紙、習字用紙、OA用紙などなど。いいなと思っても高価であったり、入手性が悪かったりする場合があります。また、仕上げの作業がやりにくかったりする場合もあります。まずはいろいろ試してみて好みの紙を見つけましょう。そうすれば、そこに作品の個性が出てくるのではないでしょうか。


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2013年11月3日日曜日

Print-011 作品の質を上げるためのデジタルネガ技術(3)

今回も続きです。

⑤デジタルネガの安定化
 数枚のデジタルネガを作るときはあまり気にしなくてもいいですが、作品展などで多くの作品を作成するとなった場合、当然デジタルネガも相応の数が必要になってきます。写真も様々ですと、写真の明るさもそれぞれ違ってきます。そして、その違いがそのままデジタルネガに反映されます。その結果、ネガの明るさが異なってしまうため、露光時間がネガごとにバラバラとなってしまいます。枚数が増えるほど露光の作業が大変になります。

 では、多くの作品のデジタルネガの明るさを整える方法はあるのでしょうか? 一つのやり方はデジタルネガを作成する際に、ツールによってはヒストグラムの平均化(平坦化、均一化)ができるものがあります。この機能を使って、すべてのネガのヒストグラム(明るさの分布)を平均化すると、デジタルネガの明るさが同じようになるため、同じ露光条件で多くの写真が作れてしまうことになり、露光による多くのトラブルが防げます。しかし、実際はそれでも微調整は必要になります。露光についての細かい話は後程行いたいと思います。

 ただし、ヒストグラムを変更した場合は、オリジナルの写真の雰囲気が残っているか、思ったような写真になっているかの確認はしたほうがよいでしょう。




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2013年11月1日金曜日

Print-010 作品の質を上げるためのデジタルネガ技術(2)

前回の続きです。

③ふちなし
 デジタルネガを印刷するときにふち(余白)はないほうがいいと思います。ふちなし印刷ができるプリンタなら印刷時の設定だけでOKですが、できない場合はカッターナイフで丁寧に切り落としましょう。ふちがないほうがいい理由は、感光紙を作るときに紹介します。

④完全乾燥
 デジタルネガを作成するときにインクジェットプリンタを使います。印刷直後のデジタルネガはインクが完全に乾燥していない可能性が高いです。その状態で作業を始めてしまうと、デジタルネガの印刷面がいろんなところに触れてしまい、せっかくのデジタルネガのインクがにじんだり汚れたりしてしまい、使い物にならなくなってしまいます。気温や湿度、デジタルネガフィルムによっても乾燥時間は変わってきますが、可能であればほこりのない部屋で丸一日は乾燥させるようにしましょう。



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