2014年8月5日火曜日

Print-038 紙のダイナミックレンジの確認方法

Print-009Print-019でも少し触れましたが、実際にプリントする前にテストプリントすることを勧めています。さらにそのテストプリントの前に実際に使う紙のダイナミックレンジを確認しておくとよいでしょう。ダイナミックレンジとは実際に紙が表現できる濃淡の範囲です。

まずはネガの作成方法ですが、私のやり方を書いておきます。
何でもいいのですが、例えばパワーポイントで四角を書きます。そして、その図形を塗りつぶすのですが、その際、プロパティからRGBの値をマニュアルで設定します。黒の場合はRGB=000にします。そして、それを255まで作っていきます。ここでRGBの値が異なると色が着いてしまいますので、全て同じ値にしましょう。以下の例は明るさが5ステップなのですが、例えば15ステップとかでも十分かもしれません。


データで作成したグラデーションデータ(ポジ)

データで作成したグラデーションデータ(ネガ)

現在はポジでもネガでもプリンタに出力する際に変更できるので、元データはどちらでも構いません。あわせて左右反転してくれる機種もありますのでお持ちのプリンタの機能でどのようにデータを作るかを考えます。

デジタルネガフィルムに印刷したグラデーションデータ(ネガ)
印刷面は裏側(左右反転で印刷)


では、デジタルネガを使って露光してみましょう。

注)ここで記載している露光時間は、ケミカルランプを使っての時間です。光源が変わるとこの絶対時間は全くあてになりませんので、実際に露光される時は、テストプリントをしながら適切な露光時間を見つけてみてください。

露光時間6分(水洗後)

露光時間12分(水洗後)

露光時間16分(水洗後)

露光時間により見えるステップが変わっています。露光時間6分では140以上は表現できないのに対し、露光時間16分では200くらいまで表現できていることがわかります。一方で、暗い方では0~40くらいは表現でいていないように見えることから、この紙はデジタル値で128程度(7ビット相当)のダイナミックレンジしかないことがわかります。したがって、この紙に露光させるデジタルネガは0~127(7ビット)の範囲があれば十分ということになります。

なお、この露光時間やダイナミックレンジは感光液や紙質によって随分変わりますので、各自の条件で試してみてください。

デジタルが苦手な方にはちょっと難しいでしょうか?ご意見いただければ幸いです。




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2014年7月30日水曜日

Print-037 サイアノタイププリントとフォトグラム(2)

先日の体験会のインスピレーションを忘れないように、早速手元にあったボタンとおはじきでフォトグラムを実施してみました。オブジェよりは感光液の塗り方を気にしてみました。だいぶイメージ変わりますね。


オーソドックスな全面


チェック柄。焼肉の網みたい??


豹柄。これはこれで・・・ 


漢字にしてみた。オブジェが草のように長いと面白そう。

北陸地方にお住まいの方はこの2014/8/2(Sat)と8/23(Sat)に「フォトグラムで光の絵を描こう」と題する体験会が開催されます。食事とお風呂も付くお得な体験会とのことですので、もしご興味ある方はお早めにお問い合わせください。講師は石川県森林公園の体験会と同じ私の先輩で、懇切丁寧で楽しい指導が受けられるはずです。なお、こちらの体験会には私は参加いたしませんのでご了承くださいませ。

白山里の体験イベント
http://www.hakusanri.com/experience/


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Print-036 サイアノタイプ感光液の活用方法(2)

Print-034でも触れましたが、感光液を何とか他にも使えないかと考察してみた第二段です。引き続きサインで何かできないかと思っていたのですが、書道とか日本画などによく押されているハンコをサイアノタイプの感光液を使ってできないかと考えてみました。

この作品に押されるハンコを篆刻印(てんこくいん)というそうで、作家のサインみたいなものです。サイアノタイプの感光液を使って押印できないかを試してみました。

まず、ハンコですが、最近台湾や中国に行く機会が多くあり、その度にハンコ屋さんを見かけてましたので、贈答用としては購入していたのですが、上海で作ると、猫目石(Cat's eye)と称する一番安価な石だと街中の安いところで80元から150元くらい、上海浦東空港で300元くらい。色も豊富(なぜ??)なので例えば男性向けや女性向けといった選択ができます。また、瑪瑙(めのう)と称する石だと150元から。これらの本物の石がこの値段で購入できるのかはここでは触れないことにして、材質はともかく手掘りで15分から30分くらいでできる(看板には3分でできると書いてあるところもあるができた試しがない)ので、漢字、ひらがな、アルファベット何でも対応してくれるので、まぁ買い物ついでに気軽に作れます。もちろん日本でも作れると思います。「紫月燈明」でいくつか作ってみました。


ハンコの石の例。選択肢は他にもたくさんある。

次に朱肉ですが、市販のものだと基本的に朱色しかありません。スタンプ台を使うと黒や他の色も選択肢に入りますが、いずれもすでにインクが充てんされているため、サイアノタイプの感光液単独では使えません。そこで、塗布用スタンプ台なるものを使ってみることにしました。これは販売時にはインクが充てんされておらず、自分でインクを補充するタイプのスタンプ台です。ここに感光液を充てんしてみます。


塗布用スタンプ台(使用前)


塗布用スタンプ台(感光液充てん後)


そして捺印するのですが、感光液の粘度が不足しているせいか、うまくハンコに感光液がのりません。まぁ、かろうじてそれっぽく押せていますが、安定しては押せていません。ワトソン紙のような水彩画紙はもしかしたら相性が悪いのかもしれません。


捺印後(露光前)


捺印後(露光後)

最近は電子捺印なるものも流行っていますので、デジタルネガの中に印影を入れてしまう方法が最もリスクが少ないのかもしれませんが、あえて作品ができてから押せるような方法が確立できると、また楽しみが増えるのではないでしょうか。今日の時点ではまだ確実にとはいえませんが、今後いろいろ試してみて、安定して押印できる方法を見つけていければと思っています。

参考文献
ハンコヤドットコム
http://www.hankoya.com/shop/tenkoku/

シャチハタ 塗布用スタンプ台
http://item.shachihata.co.jp/catalog/product.do?pid=G010013

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2014年7月29日火曜日

Print-035 サイアノタイププリントとフォトグラム体験会(1)

2014/7/27(Sun)に石川県森林公園でサイアノタイプのフォトグラム体験会が開催されるとのことで、ご縁がありまして講師である私の先輩のお誘いを受け、当日のお手伝い(アシスタント)をやらせていただきました。

この森林公園内にある自然物(植物、昆虫など)を集めて、それらをモチーフにサイアノタイプでフォトグラムをやりました。感光液、感光紙はその場で作成、日光で露光。体験会中は晴れたり曇ったりでしたが、露光時間は10分もあれば十分。中には突風でオブジェが飛ばされてしまった方もいましたが、それはそれでコントラストやグラデーションが付いたり、多重露光になったりとで、みなさんすばらしい作品を作られていました。

中でも、子供たちの作品は実に自由奔放で、感光液を全面に塗る人、周辺を残して余白を作った人、感光液を模様のように塗った(描いた?)人、漢字(のように?)を書いた人などなど、それはそれは楽しい作品が多く出来上がりました。

特に印象的だったのが、子供たちと同じくらい(以上?)に大人の皆さんも楽しんでいただけたようで、教える方も本当に楽しく過ごせました。残念ながら体験会は2時間しかなかったので、皆さんと詳しい話はできませんでしたが、ほんの少しでもサイアノタイププリントを体験していただいて、紺青色の楽しさを実感していただけたのではないでしょうか。夏休みの自由課題のひとつにでもなればなぁと思う今日この頃です。

さて、体験会ではいらかという版画用紙を使いました。表はつるつる、裏はざらざら、紙が水を吸いやすい紙です。感光液が多く必要なのと、乾燥に時間がかかる、水洗を入念に行う必要があるのが難点ですが、像が比較的よく出るし、紙がしっかりしているので誰でも扱いやすい紙だと思います。この紙は関西方面ではよく店頭で見かけますが、関東ではあまり(少なくとも私は全く)見かけないことから、もしご興味ある方はネットショップ等で購入してみて、試してみてはいかがでしょうか。

体験会は来年度も開催されそうですので、もし北陸方面にお住まいの方でご興味ある方いらっしゃれば問い合わせてみてください。来年も私が出没するかもしれません。

また、過去には東京都写真美術館のワークショップでも開催されているようです。こちらもご興味あれば問い合わせてみてください。(ちなみに私はこのワークショップとは全く関係がありません。。)


体験会の時に制作した紫月燈明の作品です。



石川県森林公園イベント
http://www9.ocn.ne.jp/~waku2013/event.htm#7

東京都写真美術館 ワークショップ
http://syabi.com/contents/workshop/index.html




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2014年7月13日日曜日

Print-034 サイアノタイプ感光液の活用方法(1)

Print-016でサイアノタイププリントの感光液を作りましたが、せっかくなので紙に塗る以外に何か使い方はないかと考えてみたところ、作品にサインをしてみようかと思い始めました。要はサイアノタイププリントの感光液を使って字を書けないかということですが、今回はGペンを使って実験してみることにしました。Gペンは筆圧で線の太さが変えられることからマンガ家がよく使うペンですが、もともとは英字を書くために使われていたとのこと。とりあえずはがきサイズのホワイトワトソン紙に書いてみました。


Gペンで書いた直後。露光前。


露光後。水洗せず。

いかがでしょう?ただし字が下手なのはご容赦くださいませ。

基本的に字のところは全て感光すべきところですので、感光液の残液を洗い流す必要がないことと、室内を暗くする必要性が低いということで比較的容易にできそうです。今回の実験も日中、カーテン解放(外光が入る状態)、蛍光灯のついた室内で書いてみました。

水洗が不要なので普通の葉書でも使えそうですが、サイアノタイプの感光液で書くという説得力のある必然性は今のところ思いつきません・・・

もう少しGペンの使い方を練習したら、次回のサイアノタイププリント作品のサインにでも使おうかと考えています。これなら必然性も説明できそうです。


ZEBRA ペン先
http://www.zebra.co.jp/pro/pensaki.html

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2014年7月11日金曜日

Print-033 サイアノタイププリントとフォトグラム(1)

写真技法のひとつにフォトグラム(Photogram)があります。印画紙の上にネガフィルムをおいて露光するのが写真ですが、印画紙の上に様々な物体(オブジェ)をおいて、その影や形を直接露光する写真技法をフォトグラムと呼びます。フォトグラムは1830年代にタルボットがすでに行っていたといわれており、約180年の歴史があります。フォトグラムはネガを作る必要がないためカメラが不要であり、感光紙を作り、オブジェさえ準備してしまえば誰でも手軽にできる手法です。身の周りにあるもので露光するとなかなか幻想的なプリントが出来上がります。

以下にサイアノタイププリントで行ったフォトグラムの事例を紹介します。

この2枚は感光紙の上に造花の桜をおいて露光させたものです。上からガラス板を当ててはいますが、桜の花や枝が浮いている部分でちょっと不思議な感じの画像が出来上がっています。


ホワイトワトソン紙 (190g)                 ホワイトワトソン紙 (300g)


こちらは左側ははさみとつけペン、右側はプラスティックのフォークを感光紙の上において露光させてみました。つけペンやフォークの浮いているところがふわっした仕上がりになっています。

ホワイトワトソン紙 (300g)                 ホワイトワトソン紙 (300g)

こちらは三角コーン型のお香を並べてみました。一個だけコーンを立てたところが丸くなっていますが、他は全て寝かせた状態で適当に並べています。

ホワイトワトソン紙 (300g)                 ホワイトワトソン紙 (300g)


フォトグラムは露光時間を厳しくコントロールする必要はなく、初心者向きな作品制作手法と言えます。オブジェが動かないような仕組み(ガラスで挟むなど)があれば、日光で露光するのもいいでしょう。

Christian Marclayさんは、かつて誰しもが持っていたカセットテープを感光紙の上に乗せて、サイアノタイププリントを制作しています。私は手の届くところにあった適当なものをオブジェとして使用しましたが、自分の思い入れのある品をオブジェとしてサイアノタイプのフォトグラムを制作してみると、質の高い素敵な作品ができるのではないでしょうか。


参考文献

ウィキペディア フォトグラム

Christine Schmidt 「PRINT WORKSHOP  HAND PRINTING TECHNIQUES + TRULY ORIGINAL PROJECT」 POTTER CRAFT 2010

Christian Marclay 「CYANOTYPES」 JRP 2011



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2014年5月7日水曜日

Print-032 サイアノタイププリントの活用方法

アーカイバル性の高いサイアノタイププリントですが、最近は結婚披露宴のウェルカムボード用のプリントにしてみたり、結婚披露宴の写真をプリントして後日プレゼントしたりしています。永遠にプリントが残ることと、二人の幸せよ永遠にという想いを込めて、というのは言いすぎでしょうか?


例えば、こちらは実際にウェルカムボードに使っていただいた写真ですが、なかなかいい感じに見えませんか?

*一部写真を加工しています。


また、こちらは結婚披露宴の写真です。こちらも個人的にはいい感じに見えています。
 *一部写真を加工しています。

もちろんデジタル画像があれば誰が撮った写真でもデジタルネガにでき、そして、サイアノタイププリントにすることができます。ですが、こういう写真だけは、せめて自分で撮影して、ベストな状態なものを自分自身でプリントしたいものですね。

そして、専門の業者さんに額装していただいて(もちろん自分でしてもいいのですが・・)、めでたく贈ることができるわけです。



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2014年3月4日火曜日

Print-031 サイアノタイププリント作業時の照明

サイアノタイププリントは紫外線による化学変化を利用して紙に定着させる手法です。したがって、作業時の照明環境は露光させるときを除き紫外線の影響を完全に排除する必要があります。では、そのような環境は簡単に実現できるのでしょうか?


Print-016でもちょっと触れましたが、身近にある光で紫外線を含むものがいくつかあります。その一つが太陽光です。もうひとつの光が家庭やオフィスなどで使われている蛍光灯です。


これらに注意すればよいわけですので、外光が入る場所や蛍光灯下はサイアノタイププリントの作業には適さないということです。家庭でいうと窓際での作業は避けた方がよいでしょう。もし家庭に完全遮光のカーテンがあれば、カーテンさえ閉じれば外光の影響は排除できることになります。遮光カーテンでなくてもカーテンを閉じてしまえばある程度の外光を防ぐことができます。また隣の部屋の光が漏れこむところも避けた方がよいでしょう。光がもれているところを目張りをすればよいのかもしれませんが、これはけっこうたいへんです。 その場合は隣室も照明を消してしまった方がよいでしょう。


そうすると、作業部屋が真っ暗になってしまいます。そこでかつてよく使われた電球を照明の代わりとします。今さら電球かもしれませんが、作業中に物が見えるのはこの上ない利便性があります。すでに使われていない電球などを利用できれば一番です。ただし、電球は熱を持ちますので、裸電球にはくれぐれも気をつけましょう。市販の照明に電球を取り付けられるのが一番です。


電球での作業は、感光液を作るときと感光紙を塗布するとき、感光紙を乾燥させるとき、保存していた感光紙を見るときに限定するとよいでしょう。


ちなみに、私の場合は、ノートパソコン、PCモニタ、テレビはつけっぱなしで作業しています。だから、作品性が向上しないのでしょうかね。


参考文献

簡易分光器で観察してみよう! ケニス株式会社
http://www.kenis.co.jp/experiment/physics/021.html





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2014年2月9日日曜日

Print-030 写真をプリントする必然性とは?

かつては当たり前のように行われていた写真のプリント。そしてそれらをアルバムに飾り自分で見たり人に見せたりしていました。特に初めての子供の写真などは撮影日がわかるようにきれいに整理され、何十年たっても楽しめるものです。

ところが、著しいデジタル化の波に押され、プリントをする文化が大きく廃れつつあります。これはフィルムネガプリントはそのままでは普通の人が写真を見ることが難しいことからプリントすることが一般的だったこと、ポジフィルムもありましたが、値段も高価であり、一般の人には普及していなかったことがあげられます。そして決定的だったのは、デジタル写真が画像をデータとして保存することが容易であり、ちょっと見るだけならパソコン上でファイルを開けばすぐに見ることができることがあげられます。そして社会はSNSへと進み、画像を多くの人と共有する方向へと向かいだしています。これはPCやスマートフォンからアクセスすることが大前提の仕組みであり、プリントすることは考慮されていません。したがって、データ転送に重きをおいていることから画像サイズは小さくても十分であり、プリントアウトしても解像度が十分ではありません。今後ますます、画像をプリントアウトすることは減ってくるでしょう。表示させるだけならデジタルフォトフレームというものもありますが、爆発的に流行っているとは言えないようです。

この場で取り上げるのは不謹慎かもしれませんが、東日本大震災で多くの家が津波にのみこまれ、多くのモノや思い出が流されました。その中で多くの写真も流されましたが、そのほんの一部かもしれませんが、後に見つかり、持ち主の元へ戻った写真があります。ボランティアのひとつとして被災した写真をきれいにした後に持ち主の元へ返却しようという活動もあります。

例えばですが、同じ被災したものでも、ハードディスクに入った画像データを見る人はおそらくいないでしょうが、物体としての写真は人の目に直接入ります。そこから人や家が写っていれば、もしかしたらそこを知っている人がいるかもしれません。あきらめていた思い出が持ち主のもとに届くことは奇跡的なことなのかもしれませんが、写真という物体になっていれば、そういう可能性が少しでも残るのではないかということです。

もちろん盗難や火災、悪意ある破壊行為には物体としての写真は無力かもしれません。むしろ最近普及し始めているクラウドコンピューティングがこれらの災害には向いているのかもしれません。一長一短あるのかもしれませんが、サイアノプリントにはアーカイバル性もあり、そのプリントした写真の保存性にはデジタルデータよりも高いものがあるのではと考えてみます。皆さんもお気に入りの写真屋大切な写真を額装して物体としての写真を長く残してみませんか?





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2014年1月15日水曜日

Print-029 サイアノタイププリントとスケッチブック

私はサイアノタイププリントを行う場合、紙にもこだわりたいと考えています。和紙や版画用紙、OA用紙などなど試してみましたが、なかなか思うようなプリントにはなりません。これは、自分の作品のイメージと紙質があっていないことが一番の原因ではないかと考えています。

私の作品は建築物や風景が多いため、像をしっかりと見せたいことから像がにじむことは望みません。和紙や版画用紙は像がにじむものが多いような気がします。一方で水彩画用紙は比較的像がにじまないことから好んで使っています。特にワトソン紙は大きさも紙厚も選べ、かなり扱いやすいです。ただし、厳密には裏表があるようで、目の具合や露光時間がやや異なるような気がしますので注意が必要です。

一方で、紙の形にもこだわりたいと思います。写真技術の創成期に古典的手法の一つであるカロタイプを発明したウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット(William Henry Fox Talbot, 1800~1877)は世界最古の写真集「自然の鉛筆 (The Pencil of Nature)」を出版しました。個人的に注目したいのはタイトルに鉛筆という言葉を使ったことです。鉛筆で描写できないくらい細かいものを写真では表現できるということを主張したかったのかもしれません。鉛筆と写真、これを結びつけるもののひとつがスケッチブックではないかと考えています。作例でもいくつかありますが、特に紙に穴が開いているものがスケッチブックっぽくていいなあと思いながら好んで使っています。 

ちなみに、タルボットとサイアノタイププリントを発明したハーシェルは交流があったようです。写真技術者同士交流しながら切磋琢磨していたのかもしれませんね。




世界堂 水彩紙 ワトソン紙
http://webshop.sekaido.co.jp/product/list.php?parameter=cat&cat=140107&index=14

世界堂 水彩紙 ワトソン紙 スケッチブック
http://webshop.sekaido.co.jp/product/list.php?parameter=cat&cat=130108&index=13

多木浩二・大島洋「世界の写真家101」 新書館 1997



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