1842年、イギリスのジョン・ハーシェル(John Frederick William Herschel, 1792~1871)によって発明されたサイアノタイププリントは、青写真とも呼ばれ、光による塩鉄の化学反応を利用した写真・複製技法です。太陽光に含まれる紫外線を利用しても露光できることから日光写真とも呼ばれる場合があります。
簡単な原理を紹介しますと、鉄イオンが光(紫外線)にあたると、3価から2価へ還元される性質を利用して、鉄(Ⅲ)塩を塗布した感光紙を紫外線を含む光(太陽光など)に照射させると、ネガの濃淡が反転されて光の多く当たったところ(ネガの明るいところ、ポジの暗いところ)の鉄(Ⅲ)イオンが鉄(Ⅱ)イオンへと変わります。ここで、鉄(Ⅱ)イオンのみと反応するヘキサシアノ鉄(Ⅲ)カリウム(赤血塩)で現像すると、光の多く当たったところが鮮やかな青色となる画像が得られます。
デジタルカメラが全盛の今、画像データをプリンタに送れば誰でもきれいな写真が印刷されます。写真の良し悪しは、あのメーカーがいいとか、あの機種がいいとかあらかじめ用意された機械やプログラム(もちろんユーザーの調整によるものもありますが)によるものであり、そこに作家の意志は入り込む余地はプロレベルを除きほとんどありません。
一方で、このサイアノタイププリントは、自分で感光液を調合し、自分で紙を選び、感光紙を作成し、ネガフィルムを使って露光させ、水洗することにより、作家の意思を十分に反映したプリントが可能になります。
また、サイアノタイププリントはアーカイバル性が高く、適切に制作すれば長期間保存可能なプリントとなるため、作品性が高いプリントとなりうるのです。
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同じくそそのかされた一人です。サイアノ作品のアップも楽しみにしています!
返信削除akikoさん、こんにちは。
削除コメントどうもありがとうございました。
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