工業製品は生産者(企業)の利益が上がり続ける限り販売されますが、利益が上がらなくなると利用者の要望にかかわらず生産中止、そして販売中止になってしま場合があります。たくさん売れている時は生産量も多いため、設備費や人件費などの固定費分が薄まって単価も下がりますが、あまり売れていないときは過剰在庫とならないよう生産量を減らすため、単価が上がってしまいます。企業はボランティア団体ではありません。多くの利益をあげた企業が社会に還元することはあるかもしれませんが、利益のない会社は淘汰されてしまいます。ですので、デジタルカメラ全盛の今、フィルムを扱う企業が年々減っているのはやむを得ないことかもしれません。
一方で、著名な写真家などが賛同しているゼラチンシルバーセッション(GSS)では、銀塩写真の面白さをより多くの人に伝えていけば、銀塩写真技術や機材、フィルム、印画紙を後世に残せる、というプロジェクトを進めています。個人的には大いに賛同します(ちなみに私はメンバーではありません・・・、一般市民です)。何とか実を結んでほしいものです。
そこで、フィルムや印画紙を使わず、かつ全てを工業製品に依存しない写真制作方法はないのでしょうか?デジタルカメラで撮影したデータをネガフィルムとして使用し、感光紙も作ってしまうサイアノタイププリントが一つの解ではないかと私は勝手に思っています。
中松さんの論文にもデジタルと古典的手法をあわせた手法でのサイアノタイププリントのやり方が丁寧に紹介されています。次回より時間をかけて誰でもできるように詳しく紹介していきたいと思います。
参考文献
中松満始 「デジタル技術による古典写真技術の再現について」 千葉県立現代産業科学館研究報告第16号 2010
http://www.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/doc/research/21kenkyu_houkoku/nakamatsu_01.pdf
ゼラチンシルバーセッション
http://www.gs-s.info/
「デジタル・ゼラチンシルバー モノクロプリント ガイドブック」 ピクトリコ
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大切な写真はプリントで残したいですよね。本当にGSSの活動が実を結んで、多少高価でもフィルムや印画紙は残ってほしいと思います(^^)/デジカメでたくさん撮ってもほとんどプリントしていないかも・・。記事を楽しみにしています。
返信削除Akikoさん、コメントありがとうございました。これからもフィルムも印画紙もたぶん残っていくのだと思いますが、これだけ技術の進化が速い現在、10年後は一体どうなっているのでしょうね。
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