2014年7月11日金曜日

Print-033 サイアノタイププリントとフォトグラム(1)

写真技法のひとつにフォトグラム(Photogram)があります。印画紙の上にネガフィルムをおいて露光するのが写真ですが、印画紙の上に様々な物体(オブジェ)をおいて、その影や形を直接露光する写真技法をフォトグラムと呼びます。フォトグラムは1830年代にタルボットがすでに行っていたといわれており、約180年の歴史があります。フォトグラムはネガを作る必要がないためカメラが不要であり、感光紙を作り、オブジェさえ準備してしまえば誰でも手軽にできる手法です。身の周りにあるもので露光するとなかなか幻想的なプリントが出来上がります。

以下にサイアノタイププリントで行ったフォトグラムの事例を紹介します。

この2枚は感光紙の上に造花の桜をおいて露光させたものです。上からガラス板を当ててはいますが、桜の花や枝が浮いている部分でちょっと不思議な感じの画像が出来上がっています。


ホワイトワトソン紙 (190g)                 ホワイトワトソン紙 (300g)


こちらは左側ははさみとつけペン、右側はプラスティックのフォークを感光紙の上において露光させてみました。つけペンやフォークの浮いているところがふわっした仕上がりになっています。

ホワイトワトソン紙 (300g)                 ホワイトワトソン紙 (300g)

こちらは三角コーン型のお香を並べてみました。一個だけコーンを立てたところが丸くなっていますが、他は全て寝かせた状態で適当に並べています。

ホワイトワトソン紙 (300g)                 ホワイトワトソン紙 (300g)


フォトグラムは露光時間を厳しくコントロールする必要はなく、初心者向きな作品制作手法と言えます。オブジェが動かないような仕組み(ガラスで挟むなど)があれば、日光で露光するのもいいでしょう。

Christian Marclayさんは、かつて誰しもが持っていたカセットテープを感光紙の上に乗せて、サイアノタイププリントを制作しています。私は手の届くところにあった適当なものをオブジェとして使用しましたが、自分の思い入れのある品をオブジェとしてサイアノタイプのフォトグラムを制作してみると、質の高い素敵な作品ができるのではないでしょうか。


参考文献

ウィキペディア フォトグラム

Christine Schmidt 「PRINT WORKSHOP  HAND PRINTING TECHNIQUES + TRULY ORIGINAL PROJECT」 POTTER CRAFT 2010

Christian Marclay 「CYANOTYPES」 JRP 2011



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2 件のコメント:

  1. フォトグラムは技法は簡単ですが、どこに何を置くか考える奥深そうな表現です!三角と丸のお香のフォトグラムは、フォトグラムと名付けたモホイナジ(モホリナギ)風の幾何学的抽象ですねー。リズムがあって素敵です♪

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    1. akiさん、こんにちは。モホイ=ナジですか、アカデミックなコメントどうもありがとうございました。フォトグラムはまだまだ勉強不足なので、私ももっと勉強してみようと思います。

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