サイアノタイププリントで使うもう一つの薬品が赤血塩です。フェリシアン化カリウムやヘキサシアニド鉄(III)酸カリウムとも呼ばれています。こちらは写真用の薬剤として広く使われており、比較的入手も容易です。大手の量販店の暗室用品コーナーでまだみることができます。サイアノタイププリントを試してみたい場合は、クエン酸鉄アンモニウムと合わせてインターネットで購入すると、手間がかからずよいかもしれません。
さて、タイトルでは「感光液のための薬品2」と書きましたが、正確には、赤血塩はクエン酸鉄アンモニウムと組み合わせることにより紺青色に現像する役割を担います。クエン酸鉄アンモニウムには3価の鉄イオンが含まれています。これが光(紫外線)にあたると2価のイオンへと変わります。赤血塩は3価のイオンとは反応しませんが、2価のイオンと反応し顔料である紺青を生成します。要は光の当たったところが青に、当たらなかったところは変化しないため、紙の地がそのままとなるわけです。ここにネガフィルムを使うと、紙の上に正像が得られるわけです。また、この紺青は科学的に安定しているため、保存性の高い紙にきちんとプリントすれば、アーカイバル性が高い写真を作ることができます。
一方で、データシートによると、赤血塩には強い毒性はなく、取り扱いを規制する法律には該当しないようですが、シアン化合物であるため、水質汚濁防止法や土壌汚濁防止法には該当するようです。また、シアン化物イオンは植物や脊椎動物には解毒作用が働くため無視できますが、動物プランクトンなどの水生動物には影響があるようです。廃棄の際は各自治体の基準に従い適切に処理しましょう。くれぐれも土中や河川などにそのまま流さないように気をつけましょう。廃液を残さずに使い切るようにすることが大切ですね。
次回はこれらの薬品をどのように使っていくのかを紹介したいと思います。
参考文献
Wikipedia フェリシアン化カリウム
Wikipedia 青写真
化学物質等安全データシート ヘキサシアノ鉄酸三カリウム (タカラバイオ株式会社)
http://catalog.takara-bio.co.jp/PDFFiles/MSDS_0172.pdf
安全データシート(SDS) ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム (昭和化学株式会社)
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/16342150.pdf
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