ネガと感光紙が準備できたら、あとは露光するだけなのですが、この露光はサイアノタイププリントの重要な工程の一つです。せっかくですのでよいプリントを作るために必要な小道具を紹介します。但し、あくまでも便利グッズであり、絶対に必要なものではありませんので念のため。
・ガラス板二枚
→厚さは1mm~5mm程度。露光時に感光紙とネガをはさみ、密着させるために使います。
ないと感光紙とネガがところどころで浮いてしまい、部分的に不鮮明(もやもや)となります。
→私は7mm厚のガラスを注文しました。重くて密着化には適しているのですが、とにかく
扱いが大変です・・・
→UVカットガラスは肝心の紫外線を透過させないので使えません。写真用の無反射ガラス
(薄い)か、ネットショップで大きさ、厚さ、カット面の加工方法などオーダーできるサイトも
ありますので、こちらで注文してみるのもいいかもしれません。
ガラスの周辺には黒のパーマセルテープを貼っています。
・ハンディクリップ
→ガラス板が小さくて薄い場合、ガラスの重みだけでは感光紙とネガを完全に密着させることが
できません。ホームセンターなどで入手できる小型のクリップで周囲を挟み込むことで密着
させることができます。
ハンディクリップ
・製図用ブラシ
→自宅で行う場合、なかなかコントロールできないのがホコリです。ホコリがネガや感光紙に
乗ったまま露光してしまうと、そのホコリがそのまま像となってしまいます。露光の前には
ホコリを取るようにしましょう。はねぼうきのような硬いものより、製図用ブラシの方がネガには
やさしい気がします。
製図用ブラシ
・照明
→一番手軽なものは紫外線を含む太陽光です。直射日光でも曇りの日でも露光できます
が、直射日光の方が露光時間が速いです。快晴の日中などは比較的安定して露光でき
ますが、雲が多い日は太陽が雲に隠れるたびに光の量が変化するため、最適な露光時
間を定量的に見極めるのが難しくなります。
→自宅がマンションなどの集合住宅の場合、日照時間が限られていたり、そもそも日が当
たらない場合があります。その場合は、人工的な照明を使います。最も手軽なものが、
大手照明メーカーから発売されている捕虫器用蛍光ランプと呼ばれるケミカルランプです。
ちょっと前までは量販店の店頭でも販売されていましたが、最近ではほとんど見かけなく
なりましたので、ネットショップなどを使うとよいでしょう。
→あわせて蛍光ランプを取り付けられる照明機器も準備する必要があります。小さな作品
では1灯でも十分ですが、A3を超えるような大きな作品になると、感光紙上にどれだけ
均一に紫外線を照射できるかで作品の質が決まってしまいます。その場合は、照明を
2灯以上にする必要があります。私の場合は2灯装着できる機器を3つ使って6灯にして
います。
・タイマー
→手始めにはキッチンタイマーを使って露光時間を調整するのがよいかと思います。しかし、
キッチンタイマーは時間を教えてくれるだけで、実際の露光時間をコントロールしてくれる
わけではありません。作品制作が立て込んでくると、露光中に次の作品の準備をすること
になり、作業のタイミングによってはキッチンタイマーが鳴ってもすぐ照明を消せないことも
あります。そこで、露光時間を確実にするために電源をon/offできるタイマーコンセントスイ
ッチを使います。主にガーデニング用のものが主流のようで時間調整が大雑把なものも
ありますが、秒単位でコントロールできるものも販売されていますので、ホームセンターか
ネットショップで探してみましょう。
左がコンセントタイマー、右がキッチンタイマー
・焼き込み、覆い焼き
→そもそもデジタルネガを用いる場合はネガを作る段階で調整しておくべきですが、最初は
なかなかその勘所がつかめないかもしれません。その場合は銀塩写真を印画紙に焼く場
合に部分的に露光させたり(焼き込み)、露光させなかったり(覆い焼き)する手法を取り
ます。この場合、例えば黒のミュージアムボードを適切な大きさに加工したりします。
参考文献
捕虫器用蛍光ランプ(東芝ライテック)
http://www.tlt.co.jp/tlt/products/lamp/lamp_keikou_list/ichiran/ichiran.htm
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